特集原稿募集

機関誌『文学・語学』第241号・上代小特集原稿募集のお知らせ〔2023.3.14〕

[会員限定]

『文学・語学』では以下のような趣旨で投稿論文を募集します。締切は令和6(2024)年3月末日、掲載は第241号(2024年8月刊行予定)です。多くの投稿をお待ちしています。

投稿要領はこちら

聖武朝からみる文学/文学からみる聖武朝

 新型コロナウイルスが感染症法上「5類」に位置づけられたことにより、経済や社会がコロナ前の日常風景に戻りつつあります。新型コロナの流行は、社会に多くの不安と停滞をもたらした一方で、オンラインやハイブリッド形式といった新しい授業や学会の形の模索や、AIの発展などを我々に促しました。それらは今後、歴史のなかの一つの事象として、様々な視点から検証されることでしょう。いまだ解決を見ないウクライナ問題も含め、我々はやがて歴史となるであろう「現在」を生きています。

 歴史が「現在と過去との対話」(E・H・カー『歴史とは何か』岩波新書)であり、主体的に捉えることが求められるものであるならば、そうした混乱を経験した現在の我々の過去を見る視点も、新しく更新されているはずです。

 二〇二四年は、聖武天皇即位から一三〇〇年の節目にあたります。聖武天皇は、神亀元年(七二四)の即位から天平勝宝元年(七四九)に譲位するまでの二十六年間という八世紀最長の在位年数をもち、八世紀、ひいては奈良時代を代表する天皇と言えます。また現在我々が遺物としてみられる平城京・大仏造営・正倉院宝物など、華やかな天平文化の中心にあった天皇でもあります。

 一方で、長屋王の変、天然痘の大流行、藤原広嗣の乱といった、社会的混乱の事態に遭遇し、恒久的な都であったはずの平城京を捨て、遷都を繰り返した時代でもあります。現在の我々にも通じる動乱の時代とも言えるでしょう。

 本小特集では、そうした聖武天皇の時代性がいかなる文学を生んだのか、あるいは文学の側が聖武天皇の時代をどのように描いたのかを考え、文学を通じて「歴史と対話」したいと思います。

 皆さまの意欲的な御投稿をお待ちしております。[『文学・語学』第239号掲載]